特徴

TECHNOLOGYゴールドスミスの誇る技術力

治具の調整風景

高度な技術と豊富な知識が求められるめっき加工

めっき加工は、同じ素材の同じ製品に対して行う場合であっても、表面の状態の違いによって仕上がりが変わってきます。もちろん「この素材は、こう加工する」というベースとなるマニュアルはあります。しかし、目視では同じように見える素材でもミクロの目で見た際のわずかな違いで、仕上がりに大きな差が出てくるのです。加工工程の途中で、直接手で触れて確かめたり、その都度製品の細部を確かめたりできればよいのですが、めっき加工は工程を止めることなくリズムよく進めなければなりません。そうした中で、各製品に対して最適な加工を施すためには、作業経験を重ねて身につけた「技術」と「知識」、そして製品の状態やめっき液などのちょっとした違いや変化に気づく「観察力」が非常に重要となります。

めっき槽に入らない製品の説明

めっき槽に入らない大型製品にも対応

当社には、最大約1メートル四方、320リッターのめっき槽があります。これはご家庭のお風呂の浴槽を一回り大きくしたくらいのサイズです。これだけのめっき槽があれば大抵のものには十分対応できますが、入り切らない製品のご依頼をいただくこともあります。その場合、製品の上にめっき槽を作り、めっき加工を行うことが可能です。全体めっきではなく部分めっきという方法になりますが、これは他社にはないゴールドスミスならではの技術です。「他社にめっき加工を依頼したが断られてしまった」という際でも、ぜひ一度当社にお問い合わせください。「できない」ではなく、「できる方法」を考えてまいります。

めっき加工風景

「白金めっき」のさらなる高品質化

当社では、長年に渡り白金めっき加工を行ってきました。白金めっき加工は製品に均一につけることが難しい技術で、どうしてもめっきが端の方に寄ってしまいがちです。雷をイメージしてもらうとわかりやすいと思います。雷は高いところに落ちやすいものですが、現在当社が取り組んでいるのは、高いところにも、低いところにも、中くらいのところにも、雷を均等に落とす技術の開発と言えます。一般的には、均一にするために白金めっきを厚めにつけるなどの対応がされています。しかし、白金という素材は非常に高価なもので、必要最低限の薄さでつけることができれば、コストの削減にもなりますし、省資源化にもつながります。品質のさらなる向上、コストの削減、省資源化のためにも、当社は全力でこの技術の開発に取り組んでいきます。

JIGS治具へのこだわり

めっき加工の種類にもよりますが、「治具で加工の良し悪しが決まる」と言っても過言ではありません。それくらい、めっき加工において治具は重要なものなのです。ゴールドスミスで行っている貴金属めっきや白金めっきでも、仕上がり品質の半分は使用する治具で決まります。治具は「めっき加工のノウハウの塊」であり、「どのようにめっきを施すか」、「どのように製品を引っ掛けるか」など、めっき屋さんごとに独自の考えのもとでオリジナルの治具を開発しています。当社でも独自に開発した治具を多く使用しています。理想は、お客様のご依頼内容にあわせて製作した専用の治具を使用してめっき加工を行うことです。しかし、専用の治具を製作するにはコストも時間もかかりますので、そのような対応ができない場合も少なくありません。その際は、今ある治具から最適なものを選んだり、組み合わせたりして対応していきます。

  • 治具1
  • 治具2
  • 治具の説明をする技術者

SELF-BUILT BATHめっき液の自家建浴

めっき槽

弊社の特徴は、めっき液の独自開発によって多くの自家建浴を導入しています。
トラブル発生時に市販のめっき液では、解析が困難ですが、自家建浴の場合は解析が可能であるという利点があります。

金めっきを例に挙げると、酸性金合金めっきが代表的なめっきです。1950年代に米国の旧:SEL-REX Corp.(現:ENTHONE Inc.)が「シアン化第一金カリウムは、シアン化合物なので酸性雰囲気では分解してしまうが、ある種の有機酸と混ぜるとPH4.0位でも安定して存在出来る」という特許を出願しました。この場合の有機酸はクエン酸です。この液からの金めっき皮膜は金98~99%で、他にCo,Niを微量に加える事で硬く、光沢のあるめっき皮膜が得られました。それらを日本のEEJA社が唯一販売し、コネクタ-やプリント基板の端子に用いられ、今日の電子部品の基礎になっています。弊社でもこれらのめっき液に近い組成の液(金-コバルト合金)を開発しました。

その後、国産の時計メーカーがスイスに勝るような品質の製品を販売するようになり、時計ケ-スのめっきには、合金めっき(金-ニッケル-インジウム)で金品位として92%前後で硬く、色調が淡いために広範囲に好まれ使用されていました。しかし、徐々にNiアレルギ-の問題からNiを含まない金合金めっきが使われる様になりました。例えば金-鉄-インジウムのようなめっきです。これらは色調が重要な要因のため、自家建浴を必要としました。これらの要求を満たす為に開発した金合金めっきの一例を下に示します。

金-鉄-インジウム合金めっき例

Au (kAu(CN)₂) 8~10 g/L
クエン酸カリウム 60 g/L
クエン酸アンモニウム 100 g/L
硫酸インジウム 6 g/L
硫酸第二鉄 5 g/L
PH 3.8
温度 38~43 ℃
電流密度 1~5 A/dm²